根管治療の成功率
2018.04.16
今回は根管治療の成功率について書いてみたいと思います。
根管治療は比較的成功率の高い治療方法ですが、その歯の条件によって成功率は変わってきます。
石井宏先生著の世界基準の臨床歯内療法から引用すると
専門医制度が確立されている諸外国の歯内療法学会では歯内療法の成功率は「病変のないinitial treatment(未処置の根管への治療):約90%」、「病変のあるinitial treatment:約80%」、「retreatment (再治療)約70%」、「外科的歯内療法:約90%」と捉えれている
簡単に言うと、初めて根管治療を受ける歯の成功率は約80−90%、初回の根管治療が失敗し再治療の成功率が約70%であると言われています。一方でマイクロスコープを使用する外科的歯内療法(手術を伴う根管治療)の場合は約90%程度と言われています。
つまり初回の根管治療で適切な治療を受ける事が重要だと思われます。
上記の成績は諸外国の専門医による治療成績で、日本の一般開業医での成績はどのようなものでしょうか?
正確にこの答えを出すことは出来ないのですが、東京医科歯科大学の須田元教授が2011年に歯内療法学会誌に発表した報告(図1)によると、日本の根管治療のレントゲン上の失敗率は概ね50−70%程度であると言われています。この割合は先進国の中でも非常に悪い方であると思われます。
この論文のでは、日本における歯内療法(根管治療)の現状を痛烈に批判していますが、特にラバーダムを使用した無菌的処置の原則が守られていないことが強調されています。(ラバーダムの使用率についてはリンク先を参照)
日本でのラバーダムの使用率の考えられる理由として、コスト面と手間の面が考えられます。
日頃ラバーダムを使用に慣れていない歯科医師にとって、使用することはめんどうに感じるようです。慣れてしまえば簡単なんですけどね。
費用面でいうと、ラバーダムは保険診療においては、使用しなくても使用しても、歯科医院に入る診療報酬は変わりません。また日本における根管治療の診療報酬は非常に低く設定されています。米国の一般開業医と比較すると7倍程度と言われています。コスト面を考えると根管治療を真面目にやることは割に合わないかもしれません。
しかし、根管治療は歯の余命に関わる重要な治療であることから、
当院では根管治療の原則に基づいた、世界基準の根管治療を行っていきます。
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2018.04.07